ロビン

マンチェスター・バイ・ザ・シーのロビンのレビュー・感想・評価

3.7
なんだかとても沁みた映画。
主人公リーの兄の死から淡々とストーリーが進んでいく。
冒頭からリーは無口で無表情だし何を考えているのか分からない。
彼には何かが『欠けている』或いは『無い』感じがして凄く違和感を覚える。
しかしながら、挿し込まれる回想シーンによってリーの過去が段々と分かってくると、その欠如したものとは“心”であり心が壊れてしまった、ある衝撃的な出来事があったことを知ることとなる。。

ストレッチャーが上手く救急車に乗らないし、パトリックの母親の新しい旦那は敬虔なカトリック教徒だし、停めた車が見つからないし、パトリックの彼女の母親は話が上手く続かないし、バンドのクオリティめちゃめちゃ低いし、配管すぐ壊れるし、なかなか彼女とセックスできないパトリック等々一見どうでもいいような無駄とも思えるシーンだけれど「世の中ってけっこう上手くいかないことが多いものなんだよ」ってことを伝えたかったのかなと。。

そして甥のパトリックはまだ16歳。
友人や二股してる恋人も居るし、ヘタながらバンド活動もしてるリア充な彼に、リーの気持ちや事情を察しろというのは酷な話で、しかも突然父親を亡くした上に突然引っ越せと言われたら、フラストレーションが溜まるのも良く分かる。
しかしながら、パトリックがリーに「おじさんは便利屋だからどこにでも住める」って言うシーンなんかは、リーの苦しみがパトリックに全く伝わってないのがかなりもどかしかった。
パトリックがリーに文句を言う度に「オイオイ」という気分に。。

終盤のボートで彼女とイチャイチャしてるパトリックを見て、一瞬だけ昔のような笑顔を見せたリーがとてと印象的だった。

【ネタバレ】
  ↓



愛する大切な人の死って乗り越えようと思っても、なかなか乗り越えられるものじゃない。。
特に自分が愛する人の死で、ましてや自分のミスのせいで死なせてしまったら簡単に乗り越えられるものじゃない。
イヤ、乗り越えられない。
心が壊れたまま生きていく。。
この作品を観終わったら無理に乗り越えようとしなくて良いんだよと、というかそんなに簡単に乗り越えれるようなものじゃないんだと伝えたかったのかなと思った。
ロビン

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