ぴろぴろ

マンチェスター・バイ・ザ・シーのぴろぴろのレビュー・感想・評価

4.6
味わい深い映画だった。
身体の一部をもぎ取られる様な喪失感、痛み。 大きな喪失を経験した人には刺さる映画だと思う。
そして中盤の衝撃。 ここから180度ガラッと違う映画を観ているようだった。 大きな大きな悲劇と言い知れぬ深い悲しみ。
飄々としてドライな現代っ子に見えたパトリックの冷凍庫のシーンも辛かった。

あの一瞬から人生が止まってしまった叔父と、父を亡くした甥っ子のこれからの行方。
見知らぬ誰かが抱える痛みや悲しみ。 それがどんなに深くとも他人には計り知れない。 表面的には、まるで何事もなかったかの様に見せながら、「それでも」人生は続く。
周りの人たちが良い人で、ほんの少し、未来への兆しを感じさせながら、「それでも」まだまだ乗り越えるには時間が必要で。
乗り越えられなくたって、逃げたって良い。 「それでも」生きて行けたら。
アルビノーニのアダージョを脳内リピートしながら、映画の中の登場人物なのに、リーやランディの人生に想いを馳せてしまった。

ミシェル・ウィリアムズが素晴らしかった。
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