回想シーンでご飯3杯いける

マンチェスター・バイ・ザ・シーの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.4
マンチェスターっていうからイギリスの話かと思っていたら、アメリカ北部のカナダとの国境近くにある地名だそうで、日本で例えれば、青森や函館辺りに近い感じなのだろうか、雪深い港町が舞台。兄の死をきっかけに帰郷した主人公には、この町から出る理由になった過去のトラウマがあり、ここが田舎町であるが故に、人間関係も閉鎖的で、その呪縛の中で苦しむ姿が描かれている。

皆さんも仰っている通り、登場人物の微妙な心境の変化を捉えた脚本が素晴らしい。甥や元奥さん等、主人公を囲む人達の描写も、必要以上に存在感を際立たせるような演出が加えられておらず、街の風情と主人公の心理描写を軸に据えた物語の世界観にどっぷり浸って鑑賞する事が出来る。

主人公がこのような状況に陥った原因としてアルコールの存在が大きいはずなのに、そこに切り込まずに、あくまで人間同士の贖罪や許しの物語としている点が、いかにもアメリカ作品らしく、そこは評価が分かれるところだと思う。