このレビューはネタバレを含みます
1954年、ミキサー売りの主人公レイは営業回りでうまくいかない日々を送っていたが、ハンバーガーショップのマクドナルド創業者の兄弟に出会い、そのシステマティックな厨房と回転率の早さに感動する。
そして主人公は創業者へフランチャイズ化すべきだと熱く提案し、展開していく。
それはかならずしも創業者兄弟の意図するところではなかったし、主人公はすぐカッとなる性格であったが、試行錯誤しながらもその人材発掘能力やマネジメント能力を開花させ、事業を広げていく。
順調に店舗を展開させるものの、創業者との亀裂は深まっていく。
さらにブレーンを手に入れ、不動産ビジネスとして飛躍。ついぞ創業者からマクドナルドの屋号を奪い取り、ハンバーガー帝国を完成させた。
こういう仕事一筋系の主人公ってすべからく、異常性を持ち合わせてるよね。だから家庭もうまくいかない。レイはほとんど躁状態にも見えた。でもそのくらいでないとあれほどの成功はおさめられないのかもね。
ビジネスパーソンとしては野心家であると言えるが、一般人からすれば人の皮をかぶった悪魔のような存在に見えるかもしれない。どこに価値を置くかで見方は変わるだろう。
彼のもたらした雇用によって救われた者もいるだろうし、創業者のように辛酸をなめた者もいただろう。資本主義経済のなかで生きるとはそういうことなのかもしれない。
見終わったときになんだか切ない気持ちになった。
そこに愛はあるんか、と問いたいが、愛じゃハンバーガーは買えないわけで。義理も人情もない最後の仕打ちは心を揺さぶってくるものがあった。
なかなかおもしろかった。