ろく

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツのろくのレビュー・感想・評価

3.8
これほど主役(マイケル・キートン)にシンパシーを感じない映画も珍しいだろう。僕の中にあったのはこの主人公に対する「嫌悪感」だけ。そしてそれは今の資本主義で「成功」すればいいんだと言っている連中に対する嫌悪感と同列なんだよ。

これ実話なのよ。そして主人公はあの「マクドナルド」を作った人。だいたい「ファウンダー」って創業者って意味だから。でも主役の名前マクドナルドじゃないじゃん。そう、マクドナルド兄弟は別にいるの。そして彼らがあのマックを作ったはずなんだ。でもこの主人公はそこに取り入りシステムを使い、そして創業の兄弟を追い出す。

うーん、これってほんと資本主義の嫌なとこじゃない。倫理的にも全く同感できないんだけど結果、マクドナルド兄弟は没落し、主人公は巨万の富を得る。資本主義を作るものたちはある意味「モンスター」なんだよ。だいたい大事なのは「執念」って言ってしまうあたりが怖すぎ。そしてそのモンスターが資本主義社会の頂点に立ってしまう。倫理は?道徳は?そんなのはお金の前では関係ないんだよ(哀しい)。

そう考えるとほんといやな気持ちになるよね。この主人公には何の鉄槌も下されず、彼は唯楽しそうに人生を謳歌し、必死になってシステムを作ったマクドナルド兄弟は没落する。そして「自分もこれくらい悪いことしないといけないのか」と思うか、それとも「金持ちになるってのはここまでしないといけないんだ。くわばらくわばら」と鴨長明ばりに逃げてしまうか。でもそれって負け犬なんだけどね。ただ負け犬でもいいから正しく生きていきたい!と思う自分は間違っているんだろうなぁ……

マイケル・キートン、ほんと怪演。身近にいたらやだなぁ。泣いちゃうかも。
ろく

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