賽の河原

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツの賽の河原のレビュー・感想・評価

3.5
あんましいいコンディションで観ることが出来なかったんであんまし深いとこまでは書けませんけれども(要は寝不足)
TSUTAYAとか行くと「資本主義映画」っていう映画の棚あるじゃないですか(ない)
んで今までみた「資本主義映画」の最高傑作は「ウルフ・オブ・ウォールストリート」だったわけです。公序良俗に反しまくっていて単純に面白いし長いけどサイコーだと。どれくらい好きかっていうと、銀行とか証券会社に勤めてる友達とかと飲みに行ったときには必ず「いや、お前さ、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のディカプリオみたいな生活してんだろ?」とか言って奢ってもらおうとするくらい好きです。(単純な迷惑行為)
でも、まあ本作観ると「ウルフ・オブ・ウォールストリートなんか全然資本主義じゃねーな。」というか、「資本主義映画」としての純度は本作の方が上だと思いました。(映画として上をいっているとは言っていない)
例えば、例の映画のディカプリオは資本主義的なるものっていうのを自己の欲望を満たすためのツールとして使うわけですよね。証券を使って「空虚な財・サービス」を駆動させまくって利ザヤを得るという。そしてその利ザヤを欲望に向けて使って使って使いまくる。
一方で本作での「ファウンダー」はそういう欲望を満たすためにはどうにも見えない。勿論見方によっては「名誉欲」とか「承認欲求」のため、って見方もあるんだろうけど、エンドロールで明らかになるように、自らのなした財をノブレスオブリージュ的な始末のつけかたをする。
つまるところ、映画の印象的なシーンに「フランチャイズ!フランチャイズ!フランチャーイズw」みたいなシーンがありましたけど、自己目的化している。つまりビジネスがビジネスを駆動させて巨大化していくことを目指すという点で、本質的な資本主義映画だと思いましたw
というのも、資本主義の本質っていうのは「資本を用いて資本を増加させ競争するゲーム」なわけで、そこに目標とか理念というものは厳密に言えばなくて、徹底的に自己目的化しているというところが実に資本主義の本質を描いた映画だと思いましたね。
内容面で言えば単純な伝記物としての面白さが良かったです。例えばマクドナルドが巨大化するキッカケですよね。単純にハンバーガー売ってたら儲からんわ!こんなん!っていうところに「なるほどその手があったか!」っていうw
あとは正直最初の方は「この奥さんどうのこうのの描写、だり〜な〜」とか思ってみていたら、実はこの映画における「契約(contract)っていうのはこういうもんですよ」って話と共鳴させる演出の巧さとかも感心しましたね〜。
あとは個人的には「オペレーション」っていうものも興味深かった。「オペレーション」っていうのはあれですね、どこの店でも誰がいつやっても同じものが同じように提供できる仕組みのことですけど、「マクドナルドのオペレーションはお前が考えたんじゃなかったんかい!」っていう驚きですよね。
私自身前職では結構オペレーションガチガチの職場でそれの良さや悪さは分かっていたつもりだったし、いまの職場ではオペレーションがユルユルすぎて、「そういうところカチッとした方がいいのにな」なんて思ってたわけですけど、「オペレーションそのものが尊いわけでは全くないんやで。それを野心的にマネジメントするかどうかや」っていう着地に考えさせられました。
個人的にはゴッドファーザーやカリオストロの城のミートボールスパゲッティ級にマクドナルド食いたくなる映画でしたね。
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