しょうた

菊とギロチンのしょうたのレビュー・感想・評価

菊とギロチン(2016年製作の映画)
-
長い映画を一息に観て深夜に帰宅して寝る。明け方、夢をみた。映画を撮影しているが、スタッフもキャストも試行錯誤で進まない。風呂場のシーンをどうするかでもめており、どうなるか楽しみでもある。その夢の感触は昨夜の映画の続きのようだと目覚めて気づいた。
関東大震災の混乱の中で朝鮮人とアナーキストが惨殺された史実に基づく。在郷軍人の存在など丁寧に描いている。だが、この映画で観るものを引き込むのは、これも史実という女相撲の設定に依っている。聖と俗が交差するような土俵空間の魅力を丁寧に描いてもいる。見終わって心に残るのも女集団のリアリティーであり、一人ひとりの哀感であったりする。ここで描かれる権力の横暴や差別意識ははたして過去のものに過ぎないのか、と観る者に問うてもいるだろう。最後にアナーキストたち一人ひとりのその後が示される。テロによる死刑となった若者たち、彼らとオウムの信者たちは何が同じで何が違うのか。そんなことも思わされる。相撲一座の浜辺での踊りのシーンは最も輝いていた。
しょうた

しょうた