メル

あしたのパスタはアルデンテのメルのレビュー・感想・評価

4.4
「自分の思う通りに生きなさい。ひとの望む人生なんか面白くないわ」
自分の人生を思い通りに生きられなかった祖母は孫息子にそう言い残した。

南イタリアでパスタ会社を経営する家族。
ローマの大学に行っていた次男のトンマーゾは実家に帰り自分がゲイである事をカミングアウトしようとした矢先、何と会社を継ぐ予定だった兄が一足先にゲイである事をカミングアウトしてしまった。
同性愛者が異常だと決めつけられている地方と世代の人にとっては大変なこと。

父親はショックの余り心臓発作で入院。
本心を打ち明けられないままトンマーゾは人生を考える。
そして彼がゲイだと知りながら惹かれていくちょっと孤独なアルバ。

色々な揉め事があっても事あるごとに大きなテーブルを囲み木の下で食事をする。これぞイタリア!

トンマーゾを追いかけてローマからやって来たゲイ仲間の面白さ。
どんな時も孫や周囲をしっかり理解しているお婆ちゃん。
叶わぬ恋をしているアルバに「叶わない愛は終わらない、永遠に続くの」ってロマンチックな言葉を言ったり。

古い風習が残る田舎町で望み通りの生き方が出来ないでいる様々な人間の葛藤が笑いと共に描かれていて、最後は人生賛歌へと昇華している。
映像もさる事ながら、音楽が最高。

それにしても、この邦題はセンスのかけらも無いし、作品のポイントも掴んでいない。
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