takanoひねもすのたり

ウインド・リバーのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.0
ウィンド・リバー先住民居留地で起きた少女殺人事件。派遣されたFBI捜査官ジェーンは地元のベテランハンター、コリーに協力を求め捜査を進めてゆく。

感想が纏まらなくてですね、しばらく放置してました。
好みとしてはすごく好みなんです。
でもこれミステリーなんでしょうか、確かに不審死があってFBIが出張ってきて保安官と捜査を行います、が、テーマは"誰が少女を殺したか"ではなく"どうして少女は10㌔もの雪道を裸足で走り続けたなのか"なのです。
ただの雪道じゃありません、肺が凍り、血を吐く寒さの中での10㌔です。

背景にはウィンド・リバーという雪と静けさと貧困しかない先住民族居住地であるということが大きく関わっています。

コリー(ジェレミー・レナー)がとても良かった。白人でありながら先住民の信頼を得ている彼。友人の娘が酷い姿で発見され、捜査に協力しながらも、自身は友人のために動くんですね、無駄のない仕草、寡黙、眉間に皺の寄せた渋い顔が語らずとも心のうちを語ってきます。

死化粧をした先住民の友と肩を並べて座るシーンが切なかった。
伝統とか一切切り離されてこの地へ連れてこられた先住民族達。死者を送ろうにも作法が分からない…その存在の曖昧さ。
先住民族だから差別を受ける理不尽さ。

淡々とした描写が逆に刺さる映画でした。