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ウインド・リバーの接続設定のレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
5.0
雪の中での謎の死体… というところから、ファーゴのような雰囲気と、ミステリーが最大のキモなのかな?という感じで挑んだ本作でしたか、見終わった感想としては、実に渋く、潔く、達観とした、けれどもそこで生きる人間の矮小さなど、とてもひとことでは言葉に出来ない、なんとも感慨深い視聴後の感覚を与えてくれました。

物語の構造自体は、そこまで難解でもないどころか、非常にわかりやすく、謎解き的な意味での意外性などは無いので、実にテンポよく進んでくれる。

そして、この作品の良さというのが、こう ここが良かった!と、これまた一言で言えるものでもなく、物語が進む中で、描かれる美しく厳しく広大な自然、その風景、そこで暮らす人々、価値観、事件、軋轢や関係… そういったものが、少しずつ少しずつ積み重なっていって、その上で中盤から後半にかけて、そしてラストにグッと染み渡る、世界観や価値観の良さをじわーーーーっと広げてくれる。

事実か、あるいは事実にかなり近い事件や状況をモチーフとしたことから制作された映画であることが、そこに拍車をかけ、現実の社会問題を、上手にマリアージュさせて、そのリアリティを、作品の染み渡る良さに仕上げられているところも、また素晴らしい。

ジェレミー・レナー演じる、主人公コリー・ランバートが、特に作品の舞台である、ワイオミング州インディアン保留地のウインド・リバーで生きる人間ということが体現されていて、物語の中で、彼の生活や価値観、行動や物事の捉え方を通じて、まさに ウインド・リバー という場所を感じられることから、この作品のタイトルである ウインド・リバー は、ウインド・リバーを描くための作品であったのだなと、見終わった後に、改めて感じさせてくれる。

起こってしまった不幸な事件、ウインドリバーの組織同士ののナワバリ、そこに住む人達の閉塞感、コリー・ランバートの格好良いスナイプ、銃撃戦、美しいウインドリバーの景色、野生の動物など、作品の随所随所で見どころは色々あるが、それらが全て、見ている最中に積み上がっていき、やはり最終的にウインド・リバーを感じるために積み上げられた要素であった、それを理解した時、染み渡ってくる、一言では言い表せない、なんとも言えないやるせないような、深いような感覚が心地いいのだ。
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