ユースケ

デッドプール2のユースケのネタバレレビュー・内容・結末

デッドプール2(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【ジョナ・ヘックス】、【メン・イン・ブラック3】、【シン・シティ 復讐の女神】、【アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー】など、実は出演作にアメコミ映画が並ぶ隠れアメコミ野郎ジョシュ・ブローリンをデッドプールの相棒ケーブル役にキャスティングし、最強鬼やばチームXフォースの結成や刀で銃弾を切り裂いて弾きまくる【ウルヴァリン: X-MEN ZERO】のパロディを披露し、グレードアップした予算をアピールしながらも、「新作は、それなりの俳優、ほどほどな予算、無名な方のX-MEN数名、次のフェイズに向けて予算を抑えた」と予告編で勝者の余裕をかました【デッドプール】シリーズ第二弾は、前作以上に過剰なバイオレンス&下品で不謹慎なギャグに加え、【ジョン・ウィック】、【アトミック・ブロンド】のデビッド・リーチ監督(犬を殺した男)による前作以上に気合の入ったソード・アクション&ガン・アクションをテンポやバランスを考えずに詰め込んだデッドプールっぽい一本。
【ウルヴァリン: SAMURAI】の特殊メイクをした福島リラからコスプレをした忽那汐里になったユキオちゃんと【X-MEN:ファイナル・ディシジョン】のコスプレをしたヴィニー・ジョーンズから完全なCGキャラクター(中の人:ライアン・レイノルズ)になったジャガーノートのリニューアルだけでも一見の価値ありです。

とにかく、Mr.ウルヴァリンことヒュー・ジャックマンのウルヴァリン卒業作品として大ヒット&大絶賛された【LOGAN ローガン】のラストシーン(ネタバレ)をフィギュアで再現し、R指定アメコミ映画の顔をパクられたジェラシーをビンビンに感じさせるオープニングをはじめ、再生能力を失ってただの人になった自分自身をホークアイと呼んだり、ケーブルを左腕がメタルアーム繋がりでウィンター・ソルジャーと呼んだり、役者繋がりでサノスと呼んだり、黒人のドミノを黒いブラック・ウィドーと呼んだり(ブラック・ウィドーを演じるスカーレット・ヨハンソンはライアン・レイノルズの元嫁です)、インド人のドーピンダーをブラウン・パンサーと呼んだり、シリアス過ぎるケーブルを「DCユニバース出身かよ」と皮肉ったり、記念日に遅刻した言い訳に「マントの敵と戦っていた。そいつらの母親の名前はマーサだ」と【バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生】のオチを皮肉ったり、予告編になりますが、ケーブルのメタルアームに視覚効果を付け忘れたスタッフに「CGで口ひげ消すよりカンタンだろ」と【ジャスティス・リーグ】でスーパーマンを演じたヘンリー・カヴィルの口ひげ処理を皮肉ったり、前作ではX-MENに留まっていたメタフィクションの効いたアメコミ映画いじりが映画会社の垣根を越えてMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)からDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)まで拡大。

更に、片目のウィリーと花柄のアロハシャツ(ノーパンで足を組み替える【氷の微笑】のパロディも無駄に追加)でデビュー作の【グーニーズ】を匂わせたり、【アナと雪の女王】の【Do you want to build a snowman(雪だるまつくろう)】は【愛のイエントル】の【Papa, Can You Hear Me?】のパクリ疑惑で義理の母親のバーブラ・ストライサンドを匂わせたり、ジョシュ・ブローリンいじりも手抜きなし。
彼がケーブル役にキャスティングされたのは、デッドプールの恋のライバルであるサノスを【アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー】で演じたからだと思いますが、ホラー映画好きとしては、彼の父親のジェームズ・ブローリンがオリジナル版、ライアン・レイノルズがリメイク版の主演を務めた【悪魔の棲む家】の繋がりが決め手だと勝手に妄想して盛り上がってしまいました。

更に更に、期待の斜め上を行った最強鬼やばチームXフォースの豪華なキャスティングも要チェック。
ベドラム役に【エクスペンダブルズ】のヘイル・シーザーや【26世紀少年】のカマチョ大統領を演じたテリー・クルーズ、ツァイトガイスト役に【T/イット “それ”が見えたら、終わり。】の殺人ピエロのペニーワイズを演じたビル・スカルスガルド、そして、透明人間のバニッシャー役にケーブルを演じるはずだったブラット・ピット(【インタビュー・ウィズ・ヴァンパンア】のキルスティン・ダンストは伏線だった)。これだけの面子を揃えておいてAC/DCの【Thunderstruck】をバックにHALOで出撃するシーンがクライマックスという出オチに使うとは…アッパレ。
プロジェクト・アルマゲドンの唯一の生き残りドミノの運任せアクションやデッドプールの真っ赤なコスチュームが焼け焦げてXフォース仕様の灰色のコスチュームに変わる粋な演出も必見です。

他にも、セリーヌ・ディオンの新曲と【フラッシュダンス】の決めポーズぶち込んだ【007】シリーズのタイトルバックのパロディとか、【レディ・プレイヤー1】でもパロディされたラジカセを掲げる【セイ・エニシング】のパロディとか、a-haの【Take On Me】のMVを思わせる死後の世界での【スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲】のパロディとか、書きたい事はまだまだありますが、ネタが多過ぎて書き切れません。

最後に、脚本家のレット・リース&ポール・ワーニックとライアン・レイノルズが本作を通して描きたかったものについてなのですが、それは差別や家族なんて高尚なものではなく、【ウルヴァリン: X-MEN ZERO】のナイトメア・デッドプールと【グリーン・ランタン】の出演依頼を受けたライアン・レイノルズを抹殺し、ライアン・レイノルズの黒歴史を抹消する事だと思います。きっとデッドプールがケーブルのタイムトラベル装置を使いまくり、過去を改変しまくる本作のエンドロール中のおまけ映像から脚本を書き上げ、そこから構想を膨らませていったに違いない。そう考えるとケーブルの登場を宣言した前作のエンドロール中のおまけ映像からこれを狙っていた事に…こいつら本当に悪役だ。

ちなみに、ターミネーター気取りで時間を聞くケーブルにキンタマをぶら下げたピックアップトラックを強奪されるレッドネックはマット・デイモン。
また、予告編の話になりますが、【スーパーマン】をパロった特報第一弾【No Good Deed】と【ボブの絵画教室】をパロった特報第二弾【俺ちゃんの絵画教室】も最高なのでYouTubeで検索してみて下さい。

本作の教訓…「ボッチでも頑張れば家族が出来る」

※二回目の鑑賞日2018.6.14