梅ちゃん

フィッシュマンの涙の梅ちゃんのレビュー・感想・評価

フィッシュマンの涙(2015年製作の映画)
3.3
治験バイトにおける新薬の副作用により魚人間になってしまった青年(!?)と、それを取り巻く人々の騒動とその顛末を描いた寓話的ヒューマンドラマ。『シークレット・サンシャイン』『バーニング』の名匠、イ・チャンドン製作総指揮作品。とはいえ、雰囲気はしっかりコメディ。

主演イ・グァンスの顔を見られるのは一瞬映った遺影のみ。あとは全て魚の着ぐるみでの演技を披露。onちゃんをやっていた頃の安田顕を思い出しました。初主演作品なのに随分ロックだねぇ。

また、キラキラして可愛らしいイメージの役が多いパク・ボヨンが、今作においては性に奔放かつ金に汚いキャラクターだったのは、とても新鮮でした。

本作品において、魚人間という極めてトリッキーな要素は大して重要ではない。異質な要素が突然日常生活に放り込まれたとき、人々は何を考え、どのような行動をとるか。彼の国にて良く取り沙汰される、就職難や個人資産、メディアによる世論操作、地位や名誉に関する人々の在り様といった様々な問題を、コメディタッチで容赦なく風刺した実に味わい深い作品でした。