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淵に立つのodyssのレビュー・感想・評価

淵に立つ(2016年製作の映画)
2.5
【脚本に無理がある】

小さな工場を経営する中年男・鈴岡(古舘寬治)。妻と幼い娘がいる。
 
或る日、知り合いの男・八坂(浅野忠信)が訪ねてくる。殺人で刑務所に入っていたが、出所したばかり。鈴岡は八坂を雇い入れ、自宅においてやることに。妻は最初は嫌がっていたが、徐々に八坂と接近していき・・・

平穏に暮らしていた家族が、一人の男によって変質していく様子を描いている。

前半はまあまあだけど、後半になると首をかしげるところが多い。脚本がうまくできていないのだ。

例を一つだけ挙げておくと、八坂には実は内縁の妻と息子がいたということが後半になって判明する。なぜ八坂は出所後そちらに行かなかったのか。内縁の妻に新しい男ができていたふしはないのだし、鈴岡に雇用されるのはともかく、住み込みまでするのは不自然だろう。

この手の映画を作るからには脚本の説得性が大事で、単に筋書きが奇抜だからいいというものではない。そうした認識が制作側にも、またこの作品に賞を与えた側にも欠けているような気がした。
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