天豆てんまめ

ガール・オン・ザ・トレインの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

3.7
重度のアルコール中毒のレイチェルを演じるエミリー・ブラント。やはり演技力が素晴らしい。

「プラダを着た悪魔」の嫌味な先輩や「オール・ユー・ニード・イズ・ア・キル」のトム・クルーズよりめっぽう強い女兵士や貴婦人感が素敵な「メリー・ポピンズ リターンズ」から鬼気迫る「クワイエット・プレイス」までふり幅の大きい役柄の中で、今回のアル中のやさぐれ感も見事だった。

彼女のアップが非常に多い中で、淀んだ瞳から心に抱える痛みまで非常に説得力があったと思う。

そして、エミリー・ブラント扮するレイチェルの夫の元々愛人で、その後再婚したアナ役のレベッカ・ファーガソンも「ミッション・インポッシブル/ローグネイション」で見せた逞しい美しさと違い、繊細な演技ながら洗練されたレディ感漂う雰囲気がいい。一見幸せなように見せかけながら、ある葛藤を抱えている。

そしてヘイリー・ベネット✨アナ家のベビーシッターをしているがミステリアス。彼女のセクシーぶりはここ数年の女優で突出しているが、過去のトラウマを抱えながら男を妖しくも誘うその姿。その切れ長の瞳。ヤバいです。どことなくジェニファー・ローレンスに似ており、彼女もセクシーだが、ヘイリー・ベネットはそのセクシー感3倍増しといったところだろうか😻当時、「マグニフィセント・セブン」で多くの男性を釘付けにしたプロモーションを今作では大胆に魅せてくれる。そして、彼女の役名がメガン・ヒップウェル(いいお尻)って、あの、監督、それって、やっぱりジョークですか 笑

男性にとっては、ヘイリー・ベネットにあの潤んだ瞳で、あのしどけない姿で誘われたら(この作品の彼女の担当精神科医のように)果たして陥落せずに堪えることができるのか。それを正直に自分に問いかけられる踏み絵映画かもしれない 笑 

この作品は3人の女性の様々な痛みの物語でもあり、レイチェルの視点で物語は進むものの、後半に3人の視点が捉えられ、そして真実が一つに収束していく。レイチェルはアル中だけに事件の容疑者でもあり、目撃者だとしても記憶が飛んでいるので一番説得力が無い。このブラックアウト(短期記憶障害)がサスペンスの肝となる。「メメント」から「ハングオーバー」まで常套だが引き付けられる。

そして、3人の女性の映像的な捉えも凝っている。レイチェルはどアップが多く、アナは遠目や窓越しが多く、メガンはやや揺れているよう。映像は冷たい硬質な雰囲気で「ゴーンガール」を思い出させる。そして根本には電車をモチーフにサスペンスをよく作っていたヒッチコックへのオマージュもあるだろう。

サスペンスとしての驚きはそこまでではないが3人の女性の心の傷みをさらけ出し、そこを自己受容できるのか、破滅するのか、救済されるのかとった女性的なヒューマンサスペンスとも言えるかもしれない。

女性と男性との観る視点も違うと思うので、夫婦やカップルで観るといい意味でざわつくかもしれない。夫や彼氏はきっとヘイリー・ベネットの虜になるだろうから 笑