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The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめのodyssのレビュー・感想・評価

2.5
【ソフィア・コッポラに映画監督の才能はあるのか?】

今までソフィア・コッポラの監督した映画は何本か見ているけど、いいなと思ったことがない。
今回の作品は、以前ドン・シーゲル監督とクリント・イーストウッド主演で映画化されており、そういう意味では彼女の能力の試金石とも言える映画だろう。

で、結論から言うと、やはり彼女には映画監督としての能力が十分備わっているとは思われない。

まず脚本面では、学園側の女性ではニコール・キッドマンだけが前面に出ていて、キルステン・ダンストとエル・ファニングの使い方が弱い。

キルステン・ダンストについては、この学園に自分がいることに必ずしも納得していないという部分をもっとしっかりと描かないと、学園に収容された北軍兵士に彼女が惹かれていく心理的要因が観客に十分伝わらない。

エル・ファニングにしても、ドン・シーゲルの映画では彼女の役どころの女の子はもっと積極的に動いて、その後の展開がうなずけるようになっていたのに、この映画ではせっかく最近女優としての実力をアップしてきているエル・ファニングの動きをしっかりと捉えていないので、その後の展開が唐突に見えてしまう。

筋書きだけではない。画面が全体として暗いのはどういう意図からだろうか。室内のシーンだけならともかく、野外のシーンも暗めなのだ。いつもお粗末な装置を用いてDVD鑑賞だけで映画を見ているユーザーは「画面が暗くて何をやっているか分からない」と言うだろうことは確実(笑)。

これでは、親の七光りと言われても仕方がないだろう。世襲化は、政治家や医者と並んで芸能界(映画も含む)でも著しいけど、どんな世界でもやはり実力第一主義で行ってもらいたいものだ。
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