村上パルキ

わたしは、ダニエル・ブレイクの村上パルキのレビュー・感想・評価

3.8
見応えあった。色々考えさせられる。そしてエンディングは…

病気、収入、老後、仕事… 人生で年齢を重ねていく中で一般的に出てくる不安の種。 改めてそれらについて考えさせられた。

主人公は心臓病で働けなくなり公的機関に手当受給を申請する。しかし、 うまく条件を満たすことができない。役所仕事そのままの流れ作業で取り合ってもらえず…苛立ちは募る…

社会保障システムは貧困層のセーフティネットのはず。しかし、システムとシステムの間に不可避の歪みみたいなものが生まれて、その間で身動きを取れず、不利益を被る被害者は出てきてしまう。 本作の主人公たちはまさにその被害者と言えよう。

主要人物たちの演技が良かった。特にシングルマザーの女性。演技っぽさがない。BGMが一切無いのも相まってドキュメンタリーを見てる錯覚に陥った。

女性がお腹をすかしすぎて、思わず缶詰を食べてしまうシーン。うるっと泣きそうになった。娘や主人公が必死にフォローする様子。人の温かさって良いなと思った。

話の展開は地味。だけどじっくり見れる。見応えある社会派作品。感動して涙も流せる良作だった。
村上パルキ

村上パルキ