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わたしは、ダニエル・ブレイクのmaverickのレビュー・感想・評価

3.9
イギリスの福祉、もしくは社会全体に対しての痛烈な批判が込められた内容であり、これはイギリスやヨーロッパだけでなく、日本人にも共感し得る作品。口が悪く短気で、少々やっかいな性格のどこにでもいる初老の主人公。仕事と愛する妻一筋で真面目に働いてきた彼に対して、社会はあまりにも無慈悲である。しっかりと既存のシステムを最大限利用すれば、慈悲を受けることは可能であるが、無知で無力な人間には力を差し伸べてはくれない。規則だからというのはもっともであるが、対象者は命がかかっている。例えばこれを病院に置き換えた時、命に関わる症状の時にあなたは資格がないからと医師は治療をすることを拒むだろうか。もちろん本作は受給者側に強く隔たった描き方をしているが、だからこそこういう立場の人に向けて福祉制度を深く考え直す必要を感じずにはいられない。予告で観た時は、感動で包み込む幸せな気持ちになる映画かなと思っていたが、ほのぼのとしたシーンが多用されながらも結構強烈なパンチをくらう作品である。こういう作品が社会に影響を与えて、より良い世の中に改善していってもらいたいと切に願います。
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