はなこたちゃん

わたしは、ダニエル・ブレイクのはなこたちゃんのレビュー・感想・評価

5.0
50メートルを介助なしに歩けますか?
腕を上げられますか?
→手足は悪くない
電話のボタンは押せますか?
→悪いのは心臓だと言ってるだろう!

冒頭の支援審査の問答はコントみたいで思わず笑えるんだけど、
その後は全然笑えないし、
最早、嫌がらせかと思う行政の対応にイライラします。
病気で働けないのに
支援給付を受ける為に求職活動をしろといわれ
採用したいと言われても病気だから
働けない…???

生活保護を受けられずに餓死したという日本で起きた事件を思い出しました。

作品の中でも行政のお役所仕事的な対応は、確かに不信に思うけれど、
実際に制度を悪用する良からぬ輩がいるから致し方ない部分もあると思う

そう、悪い人がいるせいで
本当に支援を必要とする人が
面倒で煩雑な手続きや
形式的で無駄とも思える(ダニエルは茶番と言っていた)求職活動が必要な挙句、
正当な支援を受けられないなんて。゚(。pдq。)゚。

これ程理不尽で苦しい状況にあっても、人としての尊厳と隣人への思い遣り、優しさを貫くダニエルの生き様を、
最後にケイティが読み上げる、ダニエルが書き留めた申請書や
ダニエルが建物に殴り書きしたメッセージ、
そしてタイトルが力強く物語っています。

ケイティがフードバンクでとった行動には、胸を締め付けられました。

新しい靴を買って貰えずに学校で虐められる幼い子供の厳しい現実。
有名スポーツブランドの新作の高級なシューズが発売と同時に完売する現実。

住み難い世の中だとしても、
必ず共に泣き、寄り添い優しく手を差し伸べてくれる、そんな人がきっといるし、
自分もそんな人になれると思いたい。

日々、「ゴミを捨てろ」等と口煩いダニエルに対して、「最近、ゴミを捨てろって言わないけど、何かあったの?」と気遣う隣人のさり気ない優しさにウルっときます。