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エリザのためにのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

エリザのために(2016年製作の映画)
4.0
【バレるかバレないかサスペンスの傑作】
昨年、カンヌ国際映画祭で、何故か評価の高かったルーマニア映画「シエラネバダ」が無冠に終わり、同じくルーマニア映画、ムンジウの「エリザのために」が監督賞を獲った。

あらすじや予告編を観ると、
「4ヶ月、3週と2日」「汚れなき祈り」に比べ通俗化したのではと不安になったが、
とても良い意味で通俗化した作品だった。

主軸は、
娘の為に卒業試験の成績を捏造しようと、
父が東奔西走する、バレるかバレないかサスペンスなのだが、ルーマニアの悲惨な現状が非常に良く滲み出ている。

経済発展も停滞し、
未来すら感じられないルーマニア。
医者になれど幸せになれなかった為、
娘にはなんとしてでもイギリスの大学に特待生として行ってほしいと願う。
しかし、海外に出て成功する方法が1つしかないので、父はやっきになり哀しむ。
会話や雰囲気、サブストーリーから滲み出るルーマニアの息苦しさが良く描けている。

またストーリー面も、メインストーリーのクライムサスペンスの他のサブストーリーとのアンサンブルがこれまた絶妙。
試験当日に娘に怪我させたレイプ犯探し、
自宅や車に定期的に投げ込まれる石を巡る犯人探しがアクセントとなって飽きない。
ラストの方にはめちゃくちゃ怖いホラー演出もあるので、2時間ハラハラドキドキ没入した。これは監督賞も納得なサスペンスだ。

詳細感想↓
france-chebunbun.com/2017/01/29/post-9974/
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