rage30

ラビング 愛という名前のふたりのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

異人種間結婚を禁じる法律を無効にした、ラビング夫妻を描いた伝記映画。

映画の冒頭、「異人種間だから結婚を認めない」という、あまりにもストレートな差別にはシンプルに憤りを覚えた。
わざわざ夫婦の寝込みを襲ったり、脅しの様な説教をかます白人警官にもイライラさせられる。

ここから主人公達の反撃が始まるのかと思いきや、地元から離れ、ひっそりと暮らす夫婦の様子が描かれていく。
法廷劇の部分はカットされるし、そもそも、夫のリチャードに関しては政治に興味がない様子。

それよりも、本作が描きたかったのは、この夫婦の強い絆だったのだろう。
特に職場で嫌がらせを受け、白人である事を揶揄されても、グッと堪え、妻の意思を尊重するリチャードの姿が印象的だ。
もしも、この2人が喧嘩でもしていたら、歴史が変わっていた可能性もあるわけで、リチャードの愛が法律を、世界を変えたと言っても良いのかもしれない。

一方、不便とはいえ、それなりに幸せそうな夫婦生活が描かれるので、裁判に向かうモチベーションが不明瞭で盛り上がりに欠けるのも事実。
記者役のマイケル・シャノンや弁護士役のニック・クロールを活かしてきれていないのも気になる部分だった。
「頼りない若手弁護士」として登場したからには、せめて彼の成長くらいは描いても良かったのではないだろうか。

法廷劇や政治闘争モノを期待すると肩透かしを食らう可能性があるが、夫婦のラブストーリーとしては、なかなかの良作。
怒ったり、叫んだりと、エモーショナルな描写は一切出てこないが、抑制の中にある、夫婦の愛情の深さを感じさせる作品である。
rage30

rage30