地球外生命体

シエラネバダの地球外生命体のレビュー・感想・評価

シエラネバダ(2016年製作の映画)
3.5
亡くなった一家の主の法要で、親族がアパートに集まってくる。細かいトラブルが重なり物事は予定通りに進まない。歴史を巡る口論、厄介な叔父との押し問答、一向に到着しない神父、そして料理は冷めていく…。

ルーマニア映画界のフロントランナーのひとり、クリスティ・プイユ監督が、激しい出入りとエンドレスな議論とでカオスと化す狭いアパート内に、親族という巨大な小宇宙が浮き上がってくる様を驚異的なリアリズムで描き切る。

クリスティ・プイウ長編五作目、【ブカレスト郊外の六つの物語】の第三編。初長編『Stuff and Dough』が監督週間、第二長編『ラザレスク氏の最期』と第三長編『Aurora』が"ある視点"部門に選出された。

父親の法事の場で共産主義を巡って口論した監督の経験がベースになっている。ルーマニア民主化の前と後を知る監督は、歴史認識が時代に応じて変わる様を体験しており、世代間の意見の衝突を執拗に描いていく。そのうえで、異なる歴史観の持ち主も飲み込む親族という集団の底知れなさを覗きつつ、亡父の昔の嘘に傷つく男の心も描き、マクロとミクロの双方の視点を内包した深淵なる作品である。

2016年カンヌ映画祭コンペティション部門出品。第89回アカデミー賞外国語映画賞ルーマニア代表作品。

★2016年国際シネフィル協会賞
脚本賞
★2016年シカゴ国際映画祭
監督賞
★2016年リスタパッド
撮影賞
★2016年オートゥール映画祭
監督賞
★2017年国際シネフィル協会賞
Best Picture Not Released in 2016
★2017年全米映画批評家協会
特別賞
★2017年ルーマニア映画製作者組合
監督賞
作品賞
脚本賞
女優賞(ダナ・ドガル)
★2017年トリエステ映画祭
作品賞
★2017年ポーランド映画製作者批評家協会
外国語作品賞
★2017年Gopo賞
監督賞
作品賞
脚本賞
編集賞
主演女優賞(ダナ・ドガル)
助演女優賞(Ana Ciontea)
★2018年トゥリア賞
外国語作品賞
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