ミシンそば

デジレのミシンそばのレビュー・感想・評価

デジレ(1937年製作の映画)
3.5
サッシャ・ギトリ作品を観るのはこれで二度目だが、この人の撮る映画は本当にセリフ量が多くて話も脱線しまくり。
その脱線の中に重要な伏線も仕込む意地の悪い映画の作り方をするもんだから、集中力を欠くことが出来ず始末に負えない。

だが、そこを乗り越えた先、ラスト10数分に集約される「あらすじへの切り込み方」もまた、サッシャ・ギトリにしかできない鋭さでもある。
脱線はしまくるし、ラストで茶化した終わり方にしてしまうけど、これは確かに身分違いの恋を取り扱った映画だ。

そしてこの映画は演出(と撮り方)もいちいち洒脱で、オープニングの五線譜タイトルとか上から食卓を俯瞰で映すシーンとか、30年代の作品だと言うことを忘れさせるほどに新しかった。

…というか、デジレ(DesireであってDesireeではない)って普通に男性名なんだな。
デジレ・クラリーのイメージに引っ張られて観る直前までデジレを女性と思っていた。