ユースケ

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のユースケのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

1990年に放送され、ピエロのトラウマを全世界に撒き散らしたTV映画【IT(イット)】を27年周期で大虐殺を繰り返す殺人ピエロのペニーワイズの設定に合わせて27年ぶりに映画化。

みどころは、【アトミック・ブロンド】で謎のイケメン諜報員メルケルを演じたビル・イケメン・スカルスガルドが演じるペニー・ワイズのキャラ立ち。排水溝から顔を出すお馴染みの登場シーンに油断していた私は、子供の腕を噛みちぎるアグレッシブなペニーワイズに度肝を抜かれました。
登場するシーンを全てキメ画に変えるコイツはただのイケメンじゃありません。ひたすら繰り出される過剰な恐怖演出に、画面にピエロが映っていないとピエロが欲しくなってしまうピエロ依存症が発症。大量の赤い風船が逆三角形を形取るシーンには爆笑させられました。

更に、【スタンド・バイ・ミー】なジュブナイル感を醸し出すいじめられっ子グループのルーザーズ・クラブのキャラ立ちも秀逸。なんて見事な80's顔のキャスティングなんでしょう。
子供達のトラウマを生み出したエグい家庭環境が丁寧に描かれるおかげで、ペニーワイズのトラウマ攻撃は効果的に見えるし、クライマックスの子供達がトラウマを克服してペニーワイズをおやじ狩りするシーン感動的でしたが、恐怖演出同様ちょっとやりすぎで【ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団】でウルトラリンチされるゴモラを思い出して爆笑してしまいました。

部屋に貼られている【グレムリン】と【ビートルジュース】のポスター、映画館で上映されている【バットマン】【リーサル・ウェポン2/炎の約束】【エルム街の悪夢5/ザ・ドリームチャイルド】、そして、超ダサいYoung MCの【Bust A Move】など、懐かしいあの頃を感じさせる演出も要チェック。世界一ダサい髪型マレットをキメたいじめっ子とゲーセンの【ストリート・ファイター】がたまりませんでした。

【ドリームキャッチャー】のような夢も希望も失いダメな大人になったルーザーズ・クラブの面々がペニーワイズと再び相見える第二章が今から楽しみです。

ちなみに、映画評論家の町山智浩さんによればIT(イット)は鬼ごっこの鬼を表すもので、IT(イット)=それは誤訳なのだそうです。

原作から引き継がれたFloat(浮く)というキーワードについて…
実話怪談作家の平山夢明さんによれば、ペニーワイズのモデルとなった殺人ピエロの異名を取る連続殺人鬼ジョン・ゲイシーが殺害して自宅の床下に埋めた少年達の死体を表しているそうです。死体から発生するガスによって湿地に埋められた少年達の死体は埋めても埋めても浮いてきてしまい…怖い怖い。