ぶみ

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のぶみのレビュー・感想・評価

4.0
アンディ・ムスキエティ監督により、スティーヴン・キング原作の小説『IT』の前半部分である少年期を映像化したホラー。
田舎町デリーで起こる連続児童失踪事件の謎を探る少年らと、彼らが対峙する恐怖に立ち向かうひと夏の姿を描く。
「ルーザーズ(負け犬)クラブ」と称する、それぞれに弱さや恐怖を内に秘めた少年達が、一致団結し、成長していく姿は、原作者を同じにする『スタンド・バイ・ミー』を彷彿とさせるもので、思春期特有の瑞々しさ、不安定さが伝わってくる。
少年らに襲いかかるクラウン「ペニーワイズ」を、ビル・スカルスガルドが怪演、浮かび上がる赤い風船が彼の登場にインパクトを与えている。
ホラーらしく目を背けたくなるような演出もあるものの、それ以上に、登場する大人達や不良少年の怖さが糸を引く。
少年達のひと夏の冒険譚が美麗な映像で丁寧に描かれ、ホラーの名を借りた青春群像劇として胸を熱くさせる良作。

一月の残り火、僕のハートも燃える。
ぶみ

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