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LOGAN ローガンのTakeruのレビュー・感想・評価

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
4.6
X-MENシリーズの最新作にして、ヒュー・ジャックマンのウルヴァリン引退作。思えば、2000年の『X-MEN』でウルヴァリン役に大抜擢され、ハリウッドデビューを果たしたヒュー。そこから17年、様々な映画や舞台でキャリアを重ね、今ではハリウッド切っての人気俳優となった彼だが、ハリウッド進出のきっかけとなったこのウルヴァリンはこれまでずっと続けてきた。今回彼はこの役を引退することとなるが、本作ではそんな彼の17年分の想いが込められていた。

X-MENシリーズは、政治や移民問題などが扱われる作品として知られているが、これまでのX-MENシリーズ同様、本作でも様々な社会問題が各所に敷かれていた。メキシコ移民問題やアメリカ第一主義と言ったタイムリーな話題も盛り込まれており、物語の重厚さに寄与している。さすがX-MENサーガ、この手の社会問題を背景に描きこむのが上手い。

だが何より本作が素晴らしいのは、ヒーローが世界を救うものでも、正義のために敵をなぎ倒すものでもなく、ウルヴァリン=ローガンという1人の男の人生の最後を、よくあるご都合主義で終わらせることなく、描ききったことにある。本作では、これまでのような強く凶暴な無敵のウルヴァリンの姿はない。血まみれになりながら、足を引きずりながら戦う姿には目も当てられないくらいである。しかし、そんな彼が本作を通して成長していき、これまでのシリーズで得られなかったものを手に入れることができる様子は、もはや単なるアメコミ映画ではなく一つのヒューマンドラマである。まさしく、ヒューのウルヴァリン引退として最高の締めくくりとなった。

本当にお疲れ様。ローガン。

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