タイトルが『ローガン』になったのは、ウルヴァリンがローガンを取り戻すお話という意味かな。シリーズ1作目で投げられた「お前の周りでは善人が死ぬ」という言葉を呪いのようだと私は感じたんだけど、今作でもまだ呪いは解けず、ローガンはそれに押しつぶされそうになる。
そんな彼と辛い逃避行をすることになる少女ローラ。彼女を演じるダフネキーンの目力! これが初出演作のようなんだけど、そうとは信じられない熱演に驚く。
悲しみに堪えるローガンを励ますかのように、彼の太くたくましい腕をローラが握る中盤のシーン。そして一度は振りほどいたその小さく悲しい手を、ローガンが何かを伝えるかのように握る終盤のシーン。ローラが初めて呼ぶ一言とともに、二人の関係性がとても印象に残る。
X-MENシリーズだからジャンルとしてはアクションになるんだろうし、じっさい戦闘シーンには鬼気迫るものがあり、生々しいほどの描写も多い。でも全体としてはミュータントを通して人間ドラマが描かれてると感じる。病、老い、自身の生き方への迷い、過去の選択への後悔。
ヒーロー物と位置付けていいものか戸惑うほどの悲劇が絶え間なく押し寄せる。
「あんな残酷なまでに寂しい最期を、彼に迎えさせたのはなぜなのか」どうしても疑問。でも不思議とこの作品でいっきにX-MEN全体への興味が増したので、ストーリーを忘れないうちに制覇したい。
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以下、再鑑賞。
暴力シーンの過激さからR15となっている。しかし、残酷なのはそういった直接的描写だけでなく、ストーリーの中身そのものもだ。
力を持たない人々を守ってきた、時には自分の人生を犠牲にしても。そんなチャールズとローガンにも老いが訪れる。近年のヒーローものでたびたび描かれる、「ヒーローのことは誰が守るのか」という終わりのない問い。
今作でそれを大きく突き動かす、ローラという強くて弱い存在。彼女が最初からなんとなくチャールズになついていて、二人の距離が近いのがまるで本当に祖父と孫のようね。擬似親子三世代のロードムービー。
チャールズは「恵まれし子」らのために学校を創ったりして、幼いミュータントたちのことをずっと気にかけてきた。アダマンチウムのクズリだって、彼にとってはいつまでも生徒なんだろう。人造ミュータントだとしても、彼女のことも放っておけないんだろう。太陽号に乗せてあげたかったよ。
彼だけでなくローガンまでがずっとよぼよぼしてるのを寂しく思ってたけど、山中でのピンチを救うために、ドーピングの賜物とはいえ大暴れするシーンでようやく少しだけすっきり。
人の生き方は決まってる。変えられない。人を殺した者は元には戻れない。正しくても人殺しの烙印を押される。帰ってママにもう大丈夫だと伝えろ。谷から銃は消えた。
それに続くセリフ「俺も変わろうとしたができなかった」は暗唱しなかった、だってローガンは変われたものね。
たくさんの人を傷つけてきた手で、握り返すことができなかった。その勇気を得て、守るためにも手を使えると気付けた。悲しい最期だけど、最後に愛を知ることができたのは幸せといえるのかもしれない。
赤の他人との晩餐で彼が涙したのと同じように。
50-2025