ろく

アイノシルシのろくのレビュー・感想・評価

アイノシルシ(2006年製作の映画)
3.3
すっかりフルモーションに嵌っている自分がいる。観ている映画がみんな黄色だよ。

今回はあの亜紗美。一部ファンの中では爆上がりの女優だが今作ではなかなか悩む女性を演じてくれている。こんなのもできるんだ。ナイスです。

家族だから「本当のこと」を言うべきなのって話なんだ。いや正直言おう。自分家族にもあまり腹を割って話したことがない。というか家族でも本音で話したことがない。「家族が大事」ラインの人から見ればそんなバカなって思うかもしれないけど、そんなものなの。血がつながっていたって「自分」でないから「他人」なの。僕は家族だから理解できるって考えも苦手だし、僕のことも「わかってもらえない」と思っている。それでいいんだよ。お互いがベターであれば。

ラストシーンで父親役が「やっと(亜紗美が)ほんとうのことを言ってくれた」と嬉しそうにしているけど、それは「めったにない」からこそ嬉しいことなんだ。家族だから「ほんとうのこと」を言うなんてのは幻想だよ。幻想を積み重ねて生きている。だから大事なのは「ほんとうのことを言う」でなくなるべき「寛容になる」ことじゃないかな。僕は対話よりも大事だと思っている。「対話」は時に相手を恫喝してしまうことがある。それよりも「寛容」であること。それはとても難しい。亜沙美の婚約相手は時にその寛容を崩してしまう時がある。それでも彼は亜紗美に対してだけは「寛容」であろうとする。許すんだ。その「許し」に僕は感動してしまう。なかなか出来ないことだけどね。

小品だけどちょっと心動かされる。ピンク映画はそれでいいと思う。エロ目的で見て観終わったら少しだけ心が軽くなっている。それ大事よ。
ろく

ろく