KnightsofOdessa

炎のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

(1978年製作の映画)
5.0
[幻想の消防士に恋して] 100点

人生ベスト。少女バルバラは真夜中に窓辺に立つ消防士の男を幻視する。時が経ってもその幻想は彼女を捉えて離さない。バルバラは学校にも行かずに部屋にこもり、コラージュと称して消防士の"王子様"を夢想する。本作品の特徴はまず背景の奥行きがないことだろう。窓は開いていても奥は真っ暗で何も見えず、鏡ですら手前の人物しか映さず、角に置かれた椅子と壁紙のせいで直行した壁すら平坦に見えてくる。まるで、そこが世界の端であるかのような不穏さ。家の外にも一応出るが、庭と消防署前も周囲だけでマップが終わってるんじゃないかというくらい、世界が狭い。加えて、人物関係はやたら複雑なのに特に説明もないままバンバン人が登場するので、本当に夢でも見てたんじゃないかというような浮遊感がある。終始ファンタジックで不気味な映画だった。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa