荒野の狼

劇場版 仮面ライダーゴースト 100の眼魂とゴースト運命の瞬間の荒野の狼のレビュー・感想・評価

5.0
テレビシリーズ「仮面ライダーゴースト」の最終版に制作された2016年の映画。私はテレビシリーズ視聴後、数年経った2021年に本作を視聴したため、シリーズの詳細は忘れていたが、映画を楽しむ上では問題なく、シリーズの予備知識がなくても楽しめる内容の作品。
竹中直人演じる仙人の行動から、全人類の肉体が消滅して魂だけになってしまうという地球全体の危機が訪れるのを、仮面ライダーゴーストが如何に食い止めるべく戦っていくかという概要。脚本の問題は、この仙人の意図、仙人の指示で動く敵役の悪の仮面ライダーの意図が、複雑で理解できないこと。全人類の魂の危機ということは何となくわかるのだが、この部分は映画全体の鍵になるはずであったため、丁寧に描いて欲しかったところ。
本作では、前半のストーリー背景が理解できないという欠点はあるものの、歴史上の偉人が多数登場し楽しめる。たとえば、ベートーベンやモーツァルトらがロックバンドを組んで仮面ライダーゴーストの主題歌を歌うシーンなど。
欠点を補ってあまりあるのは、主役の仮面ライダーゴースト・天空寺タケルを演じた西銘駿の胸に迫る演技で、自分が永遠に消えてしまう犠牲をも省みず、他者を救うために戦いに向かっていく姿勢は、まさに究極のヒーロー像で、涙を禁じ得ない。
この仮面ライダーゴーストの命を賭した戦いはテレビシリーズの最終回でも、本作の後の映画「仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー」でも引き継がれ、仮面ライダーゴーストこと天空寺タケルをライダーシリーズの中でも、命の尊さを感じさせる特別な存在にしている。
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