すずき

メリー・ポピンズ リターンズのすずきのレビュー・感想・評価

3.8
まずは良かった所。
陶器のボウルの絵の中の世界の美しさ!
前作でも絵の中の世界は描かれてたけど、今作のはそれの順当進化。
そしてCGの質感が、当時の手書きディズニーアニメの絵柄や動きを再現してて最高!
「シュガーラッシュオンライン」の当時へのリスペクトがゼロな、ピクサー顔なディズニープリンセス達には面食らったけど、やれば出来るやんけ!
韻を踏みまくりのミュージカルも良かったし、陶器の世界ならではのアイデアも良かった。
あと衣装デザイン!手書きアニメ風の世界にマッチする、手書き風の服がホント凄い。これが2.5次元って奴か。

他のミュージカルシーンもレベル高くて、特に点灯夫ダンスがキレッキレ。

良くなかった所。
ストーリー展開が、魔法→絵の中→メリー・ポピンズの変人の親戚→労働者ダンスと前作のまんま。
しかし、脚本の完成度は悪い意味で高くなっており、前作のような粗削りの中にあった「すこし・ふしぎ」な魅力は失われた気がする。
メリー・ポピンズの親戚の話だって、自分の見方が変われば世界は変わる、なんて教訓めいた話だし。前作の「笑いすぎて地面に降りれない親戚」のエピソードとか、何が教訓なんか分からけど、その意味不明さが良かったのに!
メリー・ポピンズのキャラも、多少話が噛み合わなくって浮世離れした前作の人物像から、少し人間的現実的になった感。あと妙にツンツンしてるし。

それから陶器の世界のCG褒めたけど、後半のチェイスシーンの自動車のCGは頂けない。
アップになるシーンが多いからか、どう見ても「トゥーンレンダリングしたポリゴン」が分かる所が多く、アラが目立った。

あとお風呂の中の世界も、CGがリアルだったのも個人的にマイナス。
ホントに個人的な思いなんだけど、メリー・ポピンズの魔法って、リアルCGよりも暖かみのある手書きアニメや作り物感あった方が合う気がする。
フェリーニばりのセットで表現して欲しかった!

総評としては、映画単体としては十分な出来だけど、私のような前作厨には納得いかん所もあると思う。
前作に比べてどうこう、なのだから、ここはメリー・ポピンズ関係ない新作として作っていた、「メリー・ポピンズの遺伝子を受け継いだ傑作!」とか手放しで褒めてたかも。