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ベロニカとの記憶のikumatsuのレビュー・感想・評価

ベロニカとの記憶(2017年製作の映画)
3.8
休日の午後、観ながら気持ち良くお昼寝をしてしまった。昨日の夜、観ながら気持ち良く寝落ちしてしまった。

穏やかな日常と、ほんの少しの事件、決して手の届かない過去が、とても良い塩梅で混ざりあっている。そんな映画でした。

記憶や思い出は、その人によってどんどん作り上げられていく。辛い事実は消され、より美しく、より壊れやすいガラス細工みたいに。

数年前、販売員時代のお客様と食事をした。歩くのもやっとな体で、約束の場所まで来てくれた。食事をしながら話すわたしとの思い出話は、とても事実とは言えないような、よりロマンチックな内容に形を変えている。泣きそうなのを我慢して、笑顔で頷き続ける。彼にとって、あってほしい形になっていることが、とても愛おしかった。

絶対に事実だと思っている記憶がある。
キレイなまま蓋を閉じた思い出もある。
すべて、わたしの頭の中だ。
なんて曖昧で、なんて身勝手なんだろう。

消してしまう過去がないように、今を大切にしたい。もしかすると1秒後から形を変えてしまうかもしれないけど。

今日は賞味期限の切れたラーメンを食べる。1秒後にはカロリーだって胃もたれだって、もう、ない。
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