ちりめんじゃこ

手紙は憶えているのちりめんじゃこのネタバレレビュー・内容・結末

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

※ネタバレあり備忘録









主人公ゼヴは90歳。妻のルースを亡くしたことも忘れてしまうほどの認知症であり、介護施設で暮らしている。
友人マックスがゼヴに話しかける。

「覚えているか? ルースが亡くなった後、君が決行すると言ったことを」


こうして老人2人の復讐譚が始まった。


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あのこれ……結末わかってから
最初の頃のあれやこれやを考えると
二重構造がすごくて……


・1人目
ホロコーストについて、
私は関わっていない
恥ずべき行為だ と否定する男

・2人目
同性愛者としてアウシュヴィッツで囚人だった彼に対して、勘違いをして銃を向けたことを「すまない。本当にすまない」と詫びるゼヴ

・3人目
ナチ信望者のドイツ人。
ゼヴがユダヤ人だと知り、激昂の末突き飛ばす。恐怖に漏らすゼヴ



大ネタバレになりますが。
ゼヴは認知症により記憶を失ったナチスで、友人だと思っていたマックスが家族を殺されたユダヤ人。

ゼヴはかつて自分が犯した罪をユダヤ人の立場で追想していくことになる。
復讐劇としては、これ以上のものはないよ。

視点がぐるりとひっくり返って酔いそうになる。
どんでん返しすごい!ってメタ的に楽しむ気持ちにはならない……