このレビューはネタバレを含みます
凄い!このような作品が日本で作られなかったのが悔しいくらい
痴呆症になった老人のゼヴ・グッドマン、寝るたびに記憶をなくしてしまい頼りになるのは全てを記した手紙
かつてアウシュヴィッツで家族を殺された男が老人ホームで知り合った同じくアウシュヴィッツの生き残りである不自由な体のマックスから、ナチスでありながら身を隠して生活しているルディ・コランダーを探して復讐して欲しいと頼まれ、復讐の旅に出る物語
主演のクリストファー・プラマーが素晴らしい!起きる度に妻の名を呼び探すものの、手紙を読み死んだことを思い出した際の表情が凄かった!特に怪我して入院した際に少女に手紙を読んでもらい気がつくシーンは鳥肌もの、他にも辿々しい歩き方や、ホテルや病院で案内された際のちょっとした不安の顔など、どれもリアリティある演技で見ている側としては本当にこの人大丈夫か?となるくらい
また、脚本も秀逸で、ナチスを巡る復讐劇という重たい話を94分という短い時間で、上手く纏めていて、ルディ・コランダーを探していく中で、銃の購入シーンや越境、モールでの買い物シーンなどドキドキする場面も多く、中でもナチ信者の警官の家の場面は心臓が飛び出すんじゃないか?というくらい緊張してドッキドキで見ている方も汗かきそうになった、恐怖感すら感じるけたたましい犬の鳴き声、スキンヘッドで明らかにナチ信奉者である男を前に、腕の番号が見つかった際の緊張感が凄かった
そこからまさか銃で犬も男も殺すとは思わなんだ、なんてったって怖くて小便漏らすようなおじいちゃんだよ?
その意外性も良かった
そしてラストの衝撃、最後のルディ・コランダーにあった際に、なんとなくこいつも違うんだろうなとは思ったけど、それでもここまでの展開は読めなかったな〜
まさか探してた人物が自分だったとは
そして覚えているといった際の、本当に記憶を取り戻したであろう真っ直ぐな目、そして頭に銃を突きつける、、、
全てはマックスの描いた復讐劇だった訳だけど、なんて悲しい結末だろう
もちろん戦争犯罪人でありながら身を隠してきたという事実はあるものの、あの場にいた、ゼヴの息子やルディの孫にひ孫にはなんの罪もない
けれどかつての親の罪、親のやってしまった過去の為に巻き込まれ、このような悲劇を迎えてしまう
自らの罪の重さに自死する
マックスの考えた復讐劇は見事に重く辛い結末を迎える
思い返せば、銃の使い方やワーグナーを愛して弾いてしまうところなどなんとなくの違和感はあったものの、そこに気がつくことなく進むストーリーに、メインの出演者の殆どが高齢者であり、その演技がまた素晴らしかった
サスペンスとしての緊張感や認知症の主人公といった設定がとても素晴らしい映画でしたね
あと、腕に手紙を読めとか書く所はなんとなくメメント思い出したw