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手紙は憶えているのundoのレビュー・感想・評価

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
3.9
深遠。

評価が高いので鑑賞。
期待通りの作品で面白かったです。
ジャンルはミステリー&サスペンス。

主演は「サウンド・オブ・ミュージック」のトラップ大佐ことクリストファー・プラマー。
アウシュビッツでナチスに家族を殺害され、復讐を果たそうとする老人ゼヴを演じる。
トラップ大佐は反ナチスのオーストリア軍人だったので因縁めいたものを感じますね!

ゼヴは認知症が進んでいるので、定期的に手紙を読まないと自分の目的を忘れてしまう。このシチュエーションは「メメント」を思い出す。この設定を生かした構成の妙が本作の魅力のひとつ。

ミステリー&サスペンスなので終盤明かされる謎があるのだけど、振り返ってみればヒントや伏線がゴロゴロ転がっていて見事だなあと思った。

演出も良くて、発破作業をしている工事現場から繰り返し鳴り響くサイレンと爆音は明らかに戦時中を思い出させるし、手紙を朗読する少女の無邪気さと内容の残酷さの対比も見事だった。
クライマックスでの緑豊かな自然の美しさはシーンを盛り上げるのにひと役買っている。

ナチスが行なった「水晶の夜」については以前にBBCのドキュメンタリーを見たことがあったのだけど、その非人道的行為については今さらながらに許されるものではないと改めて感じた。未だにナチス関連の映画が作られ続けていることが、彼らの罪深さを物語っているよう。

本作から見終えた後に感じたことは深遠という言葉。罪の深さ、業の深さ、そして復讐の思いの深さ。
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