さすらいの旅人

親愛なるきみへのさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

親愛なるきみへ(2010年製作の映画)
3.7
●月の大きさはいつでも親指と同じだよ
【CATV/ザ・シネマ/放送録画視聴/シネスコサイズ】

俗に言う本格的メロドラマで見応えある映画だ。
私の大好きな「きみに読む物語」と同じ原作者らしく、物語の展開や世界観が似ているように感じる。休暇中の若い軍人ジョンと女子大生サバナの2週間の恋から、長距離恋愛での波乱万丈な運命を重厚なドラマとして描いている。

長距離恋愛の難しさ、特に恋人に連絡を取る方法が手紙しかないのは悲惨だ。手紙のやり取りについては丁寧に描いていており、最初の頃の恋人同士のワクワク感はうまく演出されていた。ラストに向けて驚きの展開が待っているが、後で考えると伏線が張られており、そのシナリオがうまい。悲劇になるのか、ハッピーエンドになるのかは観てのお楽しみだ。

この映画は男女のラブストーリだけではないのが評価できる。それはジョンの父親やサバナの親しい人々についての物語も加味しているからだ。特にジョンと自閉症気味で無口な父親との親子関係は、子供時代の思い出と現在の父親の姿をオーバーラップさせドラマチックに描いている。父親役のリチャード・ジェンキンスの抑えた演技が素晴らしかった。