なんか、クトゥルフTRPGでプレイヤーキャラが全員SAN値無くなったみたいな話だな……というのが最初に思った感想でした。
(この話「信頼できない語り手」しかいなくない……?みたいな)
色々な見方ができる映画だとは思うんですが、一見超常的だったり意味のよく分からない場面に幻覚(妄想)描写と取れる所が見られ、また視点人物のいない「地の文」と解釈できるシーンで「幻覚成分の含まれた健康食品の流通」が提示されているので、物語としては「閉鎖的で迷信深い田舎の風土に、折悪しく重なった疫病+幻覚が招いた惨劇」みたいな感じ(雑に例えると「SIREN+バイオハザード+ゾンビ」)で捉えるのが妥当なのかな……という解釈だったんですが……どうでしょうね?
もっとも、その一方で同じく「地の文」的なシーンで実際に超常的な事象が起こっていると思えるところもあったりしてなんとも言い切れない部分もあったりするんですが、映画としては例えば点と点を勝手につないで結論を導き出す陰謀論的な思考や、単なる思い込みや噂に駆られて暴挙に出たりする人の姿など、現代のSNS社会的なものに対する「この情報化社会、人は何を見て、何を聞くのか。【信じる】とは何か」という風刺がテーマのようにも読み取れましたので、実はその辺りの裏設定やシチュエーションについては「どうとでも解釈して構わない」のかもしれません。
難解ではありますが、2時間半の長尺に観客を惹き込む力のある作品だったと思います。