なんだか意外にも賛否が割れていたのでなんでかな〜と思ったら納得。良い意味で、ちょっと想像したような映画ではなかったというか。万人受けするような映画ではない気がする。
物語の前半は、ああ、いわゆるこういう感じね、予告やCMでさんざん観たとおりの感じ。2人が出会って、恋に落ちて、アリーが才能を見出されて…って過程があまりにもトントン行くもんだから、なんだかヌルい展開だなーなんて思っていたら…
後半の展開を観ると、ああ前半のテンプレな展開はある意味伏線だったのかな、なんて思うほどズシンとくるものがある。ジャックの弱い部分や、無駄なプライドが自分の首を絞める展開は、男であれば共感できるのでは。スターに登りつめていくアリーに、「昔の君に戻ってほしい」なんて最低なんだけど、分かる分かる、そうなんだよ!と共感の嵐。男のみっともなさ、情けなさをひしひしと感じた。
監督も兼任しているブラッドリー・クーパーに、佇まいから作風まで、第2のイーストウッドになるのでは!という期待感が出てきたし、レディーガガはさすが本職だけあって、歌の迫力がケタ違い。自身を投影したような役柄だから、気迫や説得力も抜群だった。
「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒットしている中、音楽映画ということで何かと比較されて分が悪いところではあるが、なんか良い意味でここまで大々的に宣伝されるべき映画じゃなくて、渋くて腹にズシンとくる映画だった。ちょっとそういう"音楽映画"って括りを外して、2人の男女の人間ドラマとして観てほしいなぁ、なんて思いました。