こんないたたまれない気持ちになるなんて。もうちょっと戻れない子供時代に想いを馳せて切なくなるくらいの映画かと思ってた。
大人になった主人公が、実際に残ったビデオカメラの映像と記憶を繋ぎ合わせたような不思議な主観ショットで紡がれた映画。おそらく観客も、自身の幼少期に想いを馳せるはず。誰しもの心の中にある思い出の記憶をここまで完璧に描くのすごいなって思った。
子供時代って、その感情を示す言葉を知らなかったり、知識はないだけで、親が何を考えてるかとか、今どういった状況にあるのかとか実はわかってるんだよね。おそらく主人公も、このバカンスが何かしらの意味を持って、父が何かを抱えているということを、子供ながらに気づいていたのではないか。
また、この父が、バカンス中に若者に兄妹と間違われるシーンがあるけれど、本当に親としてはかなり未熟なんだよね。関係性として、ほぼ対等に見えるし、なんなら娘のソフィが父をケアする側に回ることも。
この映画、最後まで大人になったソフィがどういう生活をしているのか、父はどうなったのか、父の過去に何があったのかなど明言されることがない。いろんな解説を読む前に、少しだけ、自分の解釈を残しておこうかな。ネタバレとは違うかもだけど、一応ネタバレ注意で。↓
父のコルムは、おそらく不幸な幼少期（虐待を受けていた？）を送っており、その事から愛情形成に歪みを持っている。
若くしてソフィを授かるも、きっと経済力や精神的な不安定さから、離婚をされた？
映画の中で怪我や骨折の描写が見られるのは、自殺未遂や自傷行為に及んでいたからか。メンタルヘルスに問題を抱えている。
おそらくソフィが大人になった現在、父は亡くなっており（自死した？）、幼いながらその兆候に気づいていつつ救えなかったことに、ずっとトラウマを抱えている。
王道の読みかもだけど、こんな風に解釈できた。色んな考察、解説をこれから見てみようと思います。とにかく、かなりヘビーだったし、親のことというか、他人が何を抱えてるかってこの映画と同じくらい分からないよなぁ、となんとも言えない気持ちになった。良くできた映画だけど、結構食らったのはたしか。
