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ディストピア パンドラの少女のyumeayuのレビュー・感想・評価

3.0
"パンドラの箱"

この時期にパンデミック映画って、ちょっと洒落になってないなぁと思いつつ鑑賞。
いわゆるゾンビ物なんだけど、一風変わった感じがして、意外と面白かった。

物語は感染すると凶暴化してしまう謎のウイルスによって荒廃してしまった近未来が舞台。
僅かに生き残った人類が暮らす軍事施設には、ウイルスに感染しながらも思考を保った子供達が収容されており、ワクチンを精製する研究が行われていた…。
そこで子供たちを教育する教師のヘレンは、特に能力の高いメラニーと仲を深めていく。
しかし、ある日その軍事施設が感染者達に襲撃され…。


ゾンビ映画好きとしては、作品ごとにネーミングされるゾンビの名前に注目しているのですが、今作だと「ハングリーズ」と呼ばれています。つまり腹ぺこゾンビ。
能力としては『28日後…』系の走るタイプ。戦闘力の高いやっかいなやつですね。
ただ、音と匂いには敏感ですが、普段は突っ立ったまま寝てるので、気づかれなければ間近を通っても大丈夫。匂いを消すジェルみたいなのもあるし。

今作ではこの設定を活かして、街に溢れかえるハングリーズの大群をうまくすり抜けていくシーンがありました。低予算ながらも緊張感のあるこのシーンは、なかなか新鮮味があって面白いなと思いました。

中盤は若干ダレ気味な気もしましたが、後半の展開は結構考えられていて、投げっぱなしな結末でなかったところは好感。
実際はこんな大雑把なことではないのだろうけど、ウイルスの生命体としての在り方みたいなものが描かれていて、こんな世界の終わり(始まり?)もあるかも…と思わせてくれました。
パンドラの箱に残された"希望"のメタファーであるメアリーは、果たして人類にとっての希望なのか?
それとも…??


ただ、現実の世界がフィクション並みに恐ろしい状況なので、ボケッとゾンビ映画見て感心してる場合じゃないんですけどね…。
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