TAK44マグナム

死への招待状のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

死への招待状(2015年製作の映画)
2.6
ゲイリー・ビジーの息子は覗き見野郎!?


ポーカーのプロであるガブリエルら高校時代の同級生たちが10年ぶりに集まる。
思い出話や現在の境遇について楽しく話していたが、家の主であるレイがいつまでたっても姿を現さない。
レイとアシュリーを探しにガブリエル達が外へ出ると、発電機小屋で恐ろしい光景を目にすることになるのであった。
殺人鬼がいる!
何故、自分たちが?
まさかこの中に潜んでいるのでは?
恐怖と疑心が仲間達を引き裂いてゆく・・・


2015年製作にしては驚くほど昔のスラッシャーホラーそのまんまな映画ですね。
王道と言えば聞こえは良いですが、もう少し捻りがあってもバチは当たらないのではなかろうか。
「スクリーム」は従来のスラッシャーをネタに昇華して成功しましたが、そういうのも無いし、本当にフツー。
フツー過ぎ(苦笑)
一応、犯人探し的な趣向もあるにはあるけれど、それも雑で、何の驚きもなかったです。

前半30分以上、特に見せ場もなく、登場人物の会話に終始しますけれど、本筋にあまり関係のない話が多めの印象で、これから起こるであろう恐ろしい事態に向けてのプレリュード感に乏しい。
ようやく殺人鬼が本格的に活動を開始するのが残り40分ぐらいなので、少し尺の配分がおかしく感じますね。

おかしいと言えば、ちょっと難点が多い映画だと思いました。
例えば、殺人鬼に狙われているのにその場を脱出しない。
車が壊されているからなのでしょうけれど、普通歩いてでも警察へ駆け込むでしょう。
別に道が寸断されているわけでもないし、孤島でもないんだから。
それが「この靴じゃ歩くの無理」の一言をエクスキュースにしているのは、それこそ相当無理がありますよ。

あと、主人公の職業がプロのポーカープレーヤーで、因縁のある元カレがスター俳優、家の持ち主は解雇されたホッケーのプロ選手・・・と、なんだか華やかで特殊な職業のキャラが多い割に、どれもが機能しちゃいない。
ポーカーのプロなんて巧く話に組み込めば面白そうなのに、実際は殆ど意味がないので、結局のところ「だから何なんだ」となってしまっています。
折角の設定なのに、殺人鬼との丁々発止に活かれているようには見えません。

それと、こういった映画の場合、主人公には共感できたほうが良いのは当然です。
我々が映画を鑑賞する際、キャラクターにどれだけ共感できるかで作品の評価は大きく変わってしまいます。
なので少なくとも、生き残る主人公は殺される理由が他の犠牲者に比べて希薄であるのが基本です。
けれども、本作の場合、主人公にも平等に理由があり、あまつさえ事の発端となった「イジメ事件」の主犯格でさえ○○○○⚪︎○しまうのです。
観ていて、これは正直ダメだなと若干ヒキましたよ(汗)
本作の最大の問題点はエロが中途半端だって事なんかじゃなく、ヌルいって事なのでした。
ラスト、スラッシャーホラーの定石を悪い意味でハズしてきたので、鬱憤がたまりました。
なんなんだよ、あのヌル過ぎる締め方は(汗)

本作において唯一、おっ!と思わせてくれるのは、殺人鬼の造形です。
その正体については恐ろしくツイストが効いていませんが、アホっぽいルックスは買い。
アカデミックな格好に、額に「DIE」と書かれたマスク。
学帽には鋭利なカッターが仕込んであり、手に持つ凶器は普通のL刄カッター・・・
銃撃されると驚いて一目散に逃げるお茶目なヤツですが、もっとお茶目なのが学帽カッターです!
頭をフリフリして相手の首を切るとか、手裏剣のように投げて攻撃したり、その使い方は既に帽子ではなく武具!
何故、学帽に仕込んでまでカッターに拘るのか最後まで分かりませんが、なかなかに愉快でした。


しかし、色々と半端なのが惜しい映画ですね。
最初のうちは手間かけて見立て殺人を行なっていたのに、いつの間にかテキトーこくようになってるし、見せ方も大して凝っていないのであまり怖くもなし。
よほどスラッシャータイプのホラー映画が好みでないと、とりたてて観る必要はないと思います。


あ、最近だと「ザ・プレデター」で顔を見せてくれたジェイク・ビジーはキモい管理人の役でした。


NETFLIXにて