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ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来たのknjmytnのレビュー・感想・評価

4.5
言葉の通じない東洋の果ての日本のホテルの地下3階で20時間もカンヅメになりながらレシピを考え続ける。
しかも知ってる野菜の味もまったく違う。
そしてあの超怖い料理長レネ・レゼピからのプレッシャーが一番やばい。

カイジの地下かな?

この前見たノーマのドキュメンタリーよりこっちの方が断然面白い。
ただレネ・レゼピのキャラとノーマの哲学を事前に知れたから観ておいてよかった。

スタッフのことを掘り下げて、チームとしてレシピを開発する過程を映してるからすごくおもしろい。
もれなく全員料理をつくることに人生を捧げていて、第三者が引いてみるとかなり狂った創作行為が繰り広げられてるのが楽しい。
絶対寝たほうがいいってって言いたくなるけど、そういうときほど時間ないんだよな。

ボスが徐々にホテルに近づいてくるとき、絶対みんな死ぬほどハラハラしてるだろうなって共感した笑

案の定、死ぬほど試行錯誤したレシピを問答無用で却下するレネ・レゼピ。
でも言ってることは間違ってないから、説教がしみるし、カリスマだって思っちゃう。妥協が一切ないかっこよさ。

食材探しの旅では路端の草でも蟻でもなんでも全員がパクパク口に入れちゃうから、キノコ探しのときは誰か死ぬんじゃないかと思った。
たぶん流通してる日本の野菜や果物は糖度が高すぎたり、風味が強すぎたりして使いづらいんだろうなとも。
生が理想で、限りなく新鮮でなるべく手を入れずに素材の風味を楽しむという日本の感覚で育まれて進化した食材とノーマが構築した北欧料理がぶつかっていて面白かった。

そこを打破するために自然の野山に入って草や葉、木の枝さえも固定概念なく次々と味わって香る姿が美しい。

日本らしさとノーマらしさ。
その両立のために積み重ねられる無数の失敗。
誰も正解が見えない中で議論を重ねて、その理想像を朧げにも掴んでいく。

その末に出来上がった美しいコース料理。
北海道から沖縄までのあらゆる地域の食材や草木を使いながら、その味の接続のために森の香りを使ってたような感じがあって、面白かった。
海よりも森に北欧と日本の接続点と打開策を見たのがおもしろいし、森に対する視点のフィルターの違いが浮き彫りになったような感じを受けた。味わってみたい。
天上人しか味わえてないだろうけど…

芸術品を目で見て食べて、味わって、体内に入れた上で自分の一部にする。
高級な超一流の料理ってどこかはしたなくてやっぱり良いな。食ったことないけど笑
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