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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのKHのレビュー・感想・評価

3.6
年間ノルマ60本中53作品目。
見させて頂きました。

アマプラをザッピングしながら、気になるタイトルを片っ端からリストに入れていたうちの一つです。
こちらもタイトルからは何にも想像できないと言うか、まぁもちろん宗教っぽいのはそうなんだと思うけど、

なんとなく、『もののけ姫』的な空気感というか、
シシガミ様殺したら災いが‼︎みたいな感じの内容なのかなと想像します。

ので予備情報的なのはあえてめちゃめちゃ排除して完全に初見プレイを楽しみたいと思います。


まずは、ネタバレなしの率直な感想をば述べたいと思います。


『めちゃめちゃしんどいです。初っ端のカットからもうずっとしんどい映像がずっと続きますので、それなりのご覚悟を、
また、この監督特有の(?)かはわかりませんが、
ゆっくりズームイン。ゆっくりズームアウトが非常に印象的で、
これらがあるシーンでは、無論何かしらの意味的なものを感じるも、早々に考えることを辞めたくなりました。

作中にはある事象が発生するのですが、その理由や経緯が全くわからずというか、
そこが物語の根幹になっていくんですが、その謎がずっと不気味にそこに存在しているだけと言うか、
とにかくどう対応したら良いのか全くわからないような作品でした。是非その目で見て確かめてください』



またここからはネタバレを含みますので、まだ見てない方はご注意をば、



いきなり冒頭から脈打つ心臓が映し出されてくるので、おっとこいつぁとんでもねぇのに手を出しちまったぜと、
自分の中の脳内指数を跳ね上げる必要性を感じます。

またこれは字幕だからなのか?すごく変な会話が冒頭から目立つ印象を受けました。
なんというか、そんなに中身のない会話あるかね?みたいな。
感情入ってないんかな?みたいな内容の会話。本当冒頭の時計のところなんだけど、
なんかそれがすげぇ不気味な感じがしました。

主人公のスティーブンが、かつて酒に酔った状態でオペをしてしまった事で殺してしまった患者の息子との、やりとりの後、
マーティンに家に招待され、映画を見るのだが、そこで彼の母からの誘いを断ったがためなのか?
何かしらの制約違反の様な事が発生してしまったのか、

スティーブンの子供達は死の呪いに罹る。

最初のステージは四肢の麻痺

次が食事の拒絶

次は目から流血

目から流血したらもう死ぬまではすぐ。とのこと、また、この呪いはスティーブン自身で家族の誰かを差し出さないと終了しないとの説明がマーティンからなされます。

実際に聖書とか神話とかにその手の物語とかがあるのかなーとか考察して探したんですが見つけられませんでした。多分それっぽいのはあるんだけど、聖なる鹿って単語には引っ掛からなかったというか、

しかしながら、もし仮にその辺の意味を
色々想像するならば、今作で最終的に父親が差し出したのは息子でしたが、

ならなぜ息子は死なねばならなかったのか?
を考えます。

仮にマジでロシアンルーレットが生み出した偶然なのだとするのなら、
まぁそれまでなんですが、
何となく何かしらの意味があった様に感じるのです。

例えば、娘とマーティンの関係性。2人は恋愛関係に発展しそうな状態でした。現にマーティン逃したりしてますしね。

そして、父親と同じ仕事に就きたいと発言する息子。

最悪の場合は、娘か息子のどちらかを選択する様にと囁く妻。

スティーブンはこの三者の中からあえて息子を選択した様な気がしてならないのです。

例えば、娘を殺したとする場合、その後、
残された息子は父親をどう思うのか?

自身が酔って手術したが為に、人を殺し、 その代償を払わされた結果、姉が死んだという事実が発生する。

この場合、成長した息子は確実に父親を恨むと思う。仮に自分が助かった、生かされる事を選ばれたとしても、
優しかった姉が父親のせいで死んだとなれば、きっと彼は父を許さないだろうと思う。


また、
母親が死んだ場合はどうか?
何故か大切なものの比重がこの夫婦の場合は子供よりもパートナーの方が重かったと推察する。

例えば、父親は歩けなくなった息子を無理やり立たせようとして、倒れ込む彼を、上からただ茫然と見つめるシーンから、
何となく愛情が薄い気がしてならないのだ。

また、娘はそんな家族を引き裂かんとする
マーティンに入れ上げており、彼を逃す手引きをしていることから、
おそらくこの後、娘は我々から離れていくだろうという判断。
また、母は歯向かう反抗的な娘に手を上げたところを考えるに、すでに娘はこの家族から心が離れてしまっている気がする。

つまり、ここで息子を殺す選択をしたのは、
家族の元から消えてしまう娘よりも、
その後恨まれる事を危惧した父親が息子を殺すという判断としたのでは?と考えます。

個人的に気になったのはラストのダイナーでゆっくりとマーティンの元を去る家族がスローモーションで描かれる。

何となく、呪いはこれで終わったのか?それとも、また別の呪いが始まってしまったのか?
娘が食べるポテトが何を意味しているのか、こればかりはまぁ色々と想像はできますが、きっとこの家族に良い結果は生まれないと思う。


もしかしたらマーティンと娘は共謀して夫婦を殺すかもしれない。
娘は母を殺すかもしれない、

聖なる鹿が何を指すのかはわかりません。
個人的にはマーティンの事なのでは?
と思いましたが、マーティンはこの時点では死んでないので、
だとするならば、亡くなったマーティンの父親が聖なる鹿?というのがあまりしっくり来ないだけですが、

そうなると
聖なる鹿は殺された息子ということになります。
よって、ここからが本当の呪い、災いの始まりの様な気がしてならないのです。


とまぁ、とにかくめちゃくちゃむずかったという話。面白かったけど、

この辺にします‼︎
KH

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