虚無ヨーク

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアの虚無ヨークのレビュー・感想・評価

4.5
心理をえぐるいやらしいホラー映画。マーティンに絡むシーンはことごとく不気味な音楽が煽ってきたり、典型的ホラーっぽい作りだけど、シンプルじゃない。マーティンの話し方、食べ方、表情とか、リアリティをギリギリ保ちながらの気味悪い演出、演技が見事。リアルに身体や心の痛みを感じさせる描写に、不可思議で非現実的な状況にかかわらず感情が引きずりこまれた。狙われた医者一家は追い詰められ、極限状況のなかで美しい人性を花開かせるどころか醜態を滲ませる。スティーブンは気の毒だけど、結局上から目線で、自身の犯した失敗に正面から向き合っているようには見えず、虚栄心が目立つ。胸くそでありながら痛快とも言える映画になっていてすごい。全体を通して人間を醒めた目で突き放して描いているところが好き。ランティモス監督は医者嫌い?笑
虚無ヨーク

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