来夢

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアの来夢のレビュー・感想・評価

4.3
『聖なる鹿殺し』
今年一番楽しみにしていた映画。
「籠の中の乙女」「ロブスター」と普通ではない作品で魅了し続けてきたヨルゴス・ランティモス監督の新作は、またしてもヤバい。もう彼を天才と呼ばずになんと呼ぶのか。序盤から晴天の爽やかな映像に、あからさまな不穏な音楽をぶつけてくる。それでもまだ前半は、アレ、意外に普通の物語? って思っていたんだけれど、気づいた時にはストーリーも観る側の感覚も取り返しのつかないところに陥っていて、何じゃこりゃぁって状態に。判断力と理性の決壊。そもそも正しさなんてない理不尽さ。でもそれが理不尽であることでさえ疑えてくる。復讐か、もしかしたら罪の意識からの解放という優しさか。普通では起こり得ないことが普通に起こる、これはファンタジーだ。でも突きつけられるのはどうしようもないリアルだ。だから起こってしまったファンタズムを否定することになんの意味もない。あるのはただ”選択”することだ。
最高にお薦め出来ない傑作です。最高です。
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