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22年目の告白 私が殺人犯ですのkouのレビュー・感想・評価

3.5
《1995以降》
いろいろな取っ掛かりのある作品だと思う、例えば主演が藤原竜也、伊藤英明という部分で見る人もいるだろうし、韓国の映画が原作ということで見る人もいるのではないか。僕は入江悠監督作ということで、「サイタマノラッパー」がとても好きということもあり、見に行った。

冒頭からとてもスリリングに映画が始まる。阪神大震災の起こった、1995年の時代の映像を織り交ぜながら、今作の事件の概要を手際の良いカットで繋いでいく。その省略のうまさにまず引き込まれる。ストーリーも次が気になる展開が続き、物語に惹き込まれていく。とても物語の運びがうまいし、エンターテイメントとして面白さがあると思う。例えばニュース番組、SNSやYouTube、報道番組などの媒介を通して事件を追っていくというのもとても上手く機能していたのではないか。

監督自身がインタビューで語っているのは、22年経った今でも、1995年以降という時代を生きている感覚があるということだ。今作では1995年という時代から解決されない思いを持つ者たちが物語を繰り広げる。事件や震災によって負った心の闇というのはぬぐうことができず、当事者の胸にまだ残っているのだ。その思いを抱えた者たちが、もがき、それぞれが苦しんでいる姿を描いている。それぞれの喪失感と、それぞれがその後にとった行動というのにこの映画の特徴があるのではないか。

所々違和感を覚えるところがあるが、とにかくサスペンス、ミステリー映画としても面白い。次から次へと興味を惹きつけつつ、ラストではとても考えさせられる作品になっていた。
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