dm10forever

22年目の告白 私が殺人犯ですのdm10foreverのレビュー・感想・評価

4.0
【想定通りの予想外】

タイトル見ただけだと、正直あまり面白そうな雰囲気はなかった。ただ、CMなどで見ているうちに藤原竜也の芝居が凄く気になって、久々の「即決観賞」でした。

自分も大学で法律をかじっていましたので、刑法上の時効に対する様々な見解があることも理解してましたし、その上で「司法の限界」や「警察の負担の限度」「人権」など当時は色々な事を考えたな~とおぼろ気ながら思い出しました。
個人的には「時効制度」自体反対です。それは感情的な発想であることに他なりません。ただ全ての事件を感情に任せて処理していたら、それこそ日本はメチャクチャな国になってしまうかもしれません。法治国家であるということは、小さなメリットが100個200個と積み重なっても普段はあまり感じないけど、突然デメリットがひとつでも突き付けられると、途端に受け入れ難いものに変わります。でも、冷たい言い方かも知れませんが、ルールで人を統治するということは、99人がそのルールで助かるためには1人がそのルールの犠牲になることもあるという辛い現実もあります。

この映画を観るまでは、時効成立後に現れた犯人に翻弄される被害者たちの心の葛藤を描くような映画なのかな?と勝手に想像してまして、でもCMでは割りとスピーディーな雰囲気を前面に出していたこともあり、そんなに内面的な心理描写をゆっくり描くような作品ではないことは理解できました。
まぁそうだよね、伊藤英明出しといてジワジワ系なら勿体ないよね、みたいな。
じゃあ、きっと裏があるんだろうな…と、又々勝手な値踏み。
ただね、早々によい意味で裏切られた点がひとつ。伊藤英明の演技が上手くなってる。もう海猿みたいなバカマッチョのイメージから脱却出来ないのかな~なんて思ってたけど、今作ではギリギリまで抑えた演技で、渋味すら感じました。
キャラ設定自体は、割りと乱暴なキャラなだけに、いい意味で抑えが効いてたな~。
あと藤原竜也はやっぱり凄いね。白いものを黒くみせる技術は凄いの一言です。
この役が彼じゃなかったら、割りと早々に謎にたどり着いちゃってたかもね。
きっと何かあるだろうなと構えていたにも関わらず、ラストのオチ(どんでん返し)は全く想定外の展開でした。
今回はそれまで全く興味がなかったけど、突然センサーが働いて観ようと決めた自分を褒めてあげようかな。
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