Garikuson

ジグソウ:ソウ・レガシーのGarikusonのネタバレレビュー・内容・結末

ジグソウ:ソウ・レガシー(2017年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

警察に追われる一人の男。
銃を向けられたその男の手には謎の装置が握られている。追い詰められた男は「おれは死にたくない」と叫び装置のスイッチを押し、それと同時に警戒した警察達は男に発砲。崩れ落ちた男は「これでゲームが始まってしまう」と呟く。
場面は変わり、無機質な部屋にて頭にバケツを被せられた5名の男女が気絶している。彼らの首には鎖が巻きついており、鎖の先には丸鋸がスタンバイ。目を覚ました彼らがパニックを起こしていると、「彼」の声が部屋に響く。
「さあ、ゲームをしよう。君達は罪を犯した。己の罪を告白しろ。真実こそが君達を自由にする。選択は君達次第だ。」

本作は7年ぶりのソウシリーズ最新作となる。
当時学生だった私は最新作が出るたびに友人と連れだって映画館まで足を運んだものだが、今作は気付いたら公開が終了していたため今更の視聴となる。

まず特徴的なあのサウンドでのっけから心を掴まれた。そして畳み掛けるようにバケツの5人と鎖。ソウ5でゲームに参加させられた被害者を否応無く連想させる。
続いてフッ化水素酸入りの注射でトロける顔面。これも刺された箇所こそ違うが6のウィリアムがオチで食らったものである。
穀物窒息密室も3の腐った豚のミンチのシャワーで窒息させられかける弁護士を思い出す。
鎖で足を繋がれた2人は言わずもがな1のアダムとゴードンを、最後の首のレーザーカッターは3でジョンの脳を手術させられた女医が付けられていたものにソックリ。
このように、過去作を踏襲するような仕掛けや演出のオンパレード。往年のファンであれば非常に感慨深いものがあったのではないか。

中でもジグソウマニアの検死官エレノアが趣味で集めた拷問グッズ部屋がファンサービス満点である。今回起用されることはなかったが、事あるごとに過去作に出てきた逆トラバサミもここで見ることができて個人的には嬉しい限りである。

さらにゲーム終盤では、なんと死んだはずのジョンが登場。実は本作のゲームは10年前に行われたものであり、ジョンが直接ゲームメイクしていたのである。これは驚かされた。また、変に辻褄の合わないことをしてジョンを生き返らせたりせず、あくまでジョンは現在故人である、というのを貫いたのは評価したい点である。

ソウシリーズといえば飛び抜けたグロ描写とどんでん返しがキモと言ってよい。今作もきっちりどんでん返しは用意されており、その点も満足。
ただグロ描写は他作品より明らかにヌルい。ガッツリ体の内部まで見えたのは検死の時と最後のレーザーカッターで顔面をミカンみたいに割られた警官くらいである。まぁこれも捕食時の寄生獣にしか見えず、グロいにはグロいが正直笑ってしまった。

墓を掘り起こした痕跡がない、とか、明らかに個人を狙い撃ちにしたゲームが存在してもしそいつがそれまでに死んでたら情報不足でノーチャンスじゃないか、とか、ツッコミどころがないわけではないが、それすら野暮というものだろう。

但し一点。
これだけはいただけない、というのがある。
新規ファンの取り込みはさておき、ここまで往年のファンにもサービスを尽くしてきた本作だが、最後の最後でジグソウの後継者であるローガンが重いドアを閉める際に何故「ゲームオーバー」と言ってくれなかったのか。
そこは「ゲームオーバー」でシメでしょう…。
これが残念でならない。
4点台には乗せず、3.9ということにしておく。

兎にも角にも久々のソウシリーズ、しっかり楽しませていただいた。
ファンには当然オススメ、新たにこの作品から見る人には勿論全シリーズを一通り目通ししてもらいたいが、比較的抑えめなグロ描写からオススメしやすい一本である。
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