まつり

ゲイビー・ベイビーのまつりのレビュー・感想・評価

ゲイビー・ベイビー(2015年製作の映画)
5.0
ゲイ(同性同士)のカップルの子供に焦点を当てた作品だけど彼らがゲイビーであるかどうか、という観点だけでなく単純に子育て、子供と向き合う大人、子供と対話する大人の姿として素晴らしい作品だった。

同性婚の議論では「親が同性同士である」ということに焦点が当てられてしまうが(冒頭シーンでその音声が流れる)、どんな状態でも子育ては大変だし、難しいし、楽しい…ということをどのかぞくからも伝わってきてよかった。
親のセクシュアリティよりも重要な要素が多分にあるとこの作品からは伝わった。

10歳前後の彼らの大人びた姿、親としっかりと議論する姿勢から彼らが1人の個として育てられたのがわかってそれだけでも泣けた。
ちょうど国内で宗教2世の問題も話題になっているから余計にそう思った。
親との宗教観の乖離にも描かれていたが12歳に対して「信じるか信じないかはあなたが決めなさい」という親と「決められる年齢だ」と言える子ども自身にエンパワメントされた。
どうしても日本の家父長制の中では「子供は親のもの」になってしまうんじゃないかと思わされた。
その前提が自分にあるからこそ「親がそんな外言っていいの?」と思うシーンもあったが、子供たちが屹然とした態度で「そういうことは言わないでほしい」と言い返していて、これまでのコミュニケーションの質の高さを感じざるを得なかった。

マルディグラのシーンで終わるのも良かったな…マルディグラがある世界で育った世代、そりゃあ価値観違うよなあ。
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