東京の港区辺りだろうか、無機質なビル街の遠景から始まり、狭苦しいカフェの中で各々の気持ちを抱えながら佇む人達のシーンへ。日本の新人監督の作品ながら、作風は海外の人が撮ったような外側からの視点で描かれている。不思議の国ニッポン。
登場するのは、クラブの店員として働くケイと、モデルのレイというレズビアンのカップル。そこにイラン人留学生ナイマを交えた3人の、奇妙な三角関係を描いている。
台詞は少なめで、登場人物の感情は、表情やカメラワークで紡がれる。男がほとんど登場しないのも特徴で、一方で、クラブで掛かるダンスミュージックや、カラオケのシーンが、メタファーのように挿入される。この辺りの手法も海外の映画を観ているよう。
とにかくメインの3人が魅力的で、レイはやや悪者のように描かれているものの、それでも人間としては憎めない存在として重要な役割になっている。東京の街に馴染めずに苦悩する若者達の姿を生々しく捉えた、とても魅力あふれる作品だ。