昼行灯

安城家の舞踏會の昼行灯のレビュー・感想・評価

安城家の舞踏會(1947年製作の映画)
4.0
没落華族の安城家が最後に催す舞踏会が、そのまま華族制度の崩壊を巡る人間ドラマの比喩になっているのがアツすぎる☝️🔥

原節子の後ろ姿で始まって、原節子の笑顔のクローズアップで終わる演出が、冒頭では時代の変化に対して後ろ向きだった安城家が未来に前向きになったことを表しているようでよかった。最後の原節子の笑顔がまぶしい。森雅之のスカしたおぼっちゃま演技も最高だ。煙草の煙を吐く演技はギャグかと思う。

冒頭のこれからの華族のあり方について議論してるシーンでは、カメラが喋っている登場人物の姿を追うように動いているため、まさにダンスホールで踊っているかのように思えた。ところどころ小物のクローズアップを挟んで、脚本から迂回してる感じも面白い。
小物の使い方はその後も凝っていて、姉が元運転手を追いかけるシーンでは、姉が由緒ある家柄の甲冑を踏んで追いかけることによって、階級制度を乗り越えた恋愛を象徴していた。あと、海辺に散らばったネックレスとかも。

原節子の猛ダッシュとか、元運転手の演説とか、お父様のピストルを手にするシーンとか、目まぐるしく物語が展開するのも舞踏会でくるくる踊ってるみたい。本人たちは大真面目だけど、見ているこっちはコメディとして捉えることも可能なほど面白い。
本人たちは大真面目なのに、画面の端で回っている扇風機や時計は、彼らに関係なく動作する。このことは華族たちが古い価値観に縛られることで停滞してしまっている一方、時代は関係なく新しく更新されていってることを示しているようだ。

原節子のお嬢様言葉は全然わざとらしくなくて、これが本物か…と思わせられた😭脚本も面白くて最高😭てか新藤兼人は長生きだな😭
昼行灯

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